第五夜 The fifth night
KAERU HOUSE

 

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【一本道】

通っていた学校は山の上にある。
久しぶりに訪ねてみた。
学校から港のそばにあるグラウンドまで続く道。
整備された広い立派な道のその横に
自分達が使っていた尾根伝いの細い一本道が残っている。
道は埃っぽくて、所々崩れていてさらに細くなっていたり
雑草に覆われていたりして
今は誰も使っていないその道を一人港へ向かって歩いた。

風が気持ちいい。

港につくと、ちょうど夕日が沈み始めたところで
空のこちら側はもう真っ暗になっていてちょっと怖い。
いつの間に来たのか、隣に友達が立っていた。
近所にすんでいた仲の良かった友達の渾名は「わん」
さっきからずっと一緒だたみたいに
二人で静かに夕日を眺めた。
『きれいだね』
そうしたら、急に海の向こうに花火があがった。
昔も一緒にこうやって花火を見たね。

夕陽の赤、空の紫、闇の黒がますます濃くなって
ふっと、舞台のセットみたいだな・・・と思った。

日が沈んでしまう前にあの道を通って学校へ帰ろう。